2015年2月8日日曜日

なにやら四方山話⑦

中野晃一さんの講演を聞いてきました

去る2月7日に、千葉市で千葉県弁護士会が主催した講演会に行ってきました。演題は「集団的自衛権を国民は支持したのか」で、講師は中野晃一さんです。会場は満席でした。

中野さんは、1970年生まれ。東大、オックスフォード大卒。現・上智大学国際教養学部教授。96条の会、立憲デモクラシーの会、特定秘密保護法に反対する学者の会などでも活躍中。著書多数の政治学者です。

さて、内容は集団的自衛権に絡めながら、選挙制度と立憲主義についてでした。固いテーマながら弁舌鮮やかに、しかも分かりやすい説明で飽きさせません。

まず、戦後70年。冷戦後四半世紀の世界情勢は、国民国家・領域国家が空洞化されているとし、一見もっともな「ナショナリズム」をまとったグローバルな寡頭支配が拡散することにより、自由な議論で物事を決めてゆく民主主義も空洞化する代議制の危機を訴えていました。

また、選挙独裁という問題にも触れ、日本にも選挙独裁の現実があることを統計で説明。自民党が民主党に敗北して下野した時よりも、以降のほうが得票率は低いのに政権を奪還し、維持している。小選挙区制によるもので、それは多数派支配のふりをした小数派支配の選挙制度であることは明確なのに、当時の旗振り役だったマスコミは殆どが沈黙していると。

そして、「昨年末の解散総選挙は解散権の乱用であり、立憲主義の軽視。そもそも解散は『総理の専権事項』でもなんでもなく法的根拠はない」と強調。しかも、「集団的自衛権」や「特定秘密保護法」も選挙時の公約にはなかったことも、あらためて指摘しました。選挙の時だけ耳障りのいいことを言って、「終わればこっちのもの」と国民不在の好き勝手。本当に許せません。

その後の話は1990年代の「国際協調」「国際貢献」の名のもとに湾岸戦争などに動員する「新自由主義」と「ナショナリズム」。2000年代の右傾化と社会的基盤を欠いた政権党交代の限界による民主党政権崩壊。そして岸信介の亡霊に取り憑かれた安倍右翼政権の再登場について。以上、長くなるので要約のみとしますが、おそらく中野さんが一番言いたかったであろう言葉を氏の最近の著書(共著)である「集団的自衛権の何が問題か」(岩波書店)から抜粋します。

「デモクラシーとは(中略)民衆の力である。安倍政権の強行する集団的自衛権行使のための解釈改憲に抗することができるか否かは、グローバルな規模で拡散しようとしている寡頭支配に対して日本の民衆の力が立憲主義の歯止めを掛けるために手を携えて立ち上がることができるか否かにかかっている」。

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