2014年6月28日土曜日

三田登と共に市政を考える会⑬

陳情制度改悪に反対する請願が不採択
市民の声を議会に届ける手段は「陳情」と「請願」がありますが、従来、八千代市では付託先の常任委員会と本会議双方で採決されるルールで運営されていました。しかし、去る1月9日、議会運営委員会は、「市民からの陳情の審議は委員会まで」とする案を可決し、本年6月議会から実施することになったのでした。

案の提案理由として①法律上保障されない陳情は請願とは区分されるべき②過去3年間で請願4件、陳情77件である③適合する陳情を請願にすることで議会の活性化に繋がる。などをあげていますが、市民の選択肢を一方的に狭めて、むしろ議会の活性化に逆行し、且つ、「市民に開かれた議会」の理念にも反するものです。そもそも陳情に比べて請願が少ないのは議員側の問題です。

従来から陳情は議会全体で議論されてきました。それを、常任委員会のひとつにすぎない議会運営委員会にだけの提案、即可決して、議会の運営ルールを変えてしまうことは議会の民主性をも損なうものであり、「開かれた議会」に逆行するものです。

総務省は地方自治法第109条第2項での「議案、請願等」の「等」に「陳情が含む」としており、「標準会議規則」でも陳情を「請願の例により処理する」(つまり本会議でも審議する)とされています。また、憲法で保障された請願権に陳情権も含まれるというのが憲法学の定説と言えます。今回の決定は、民意不在の陳情制度改悪であることは明らかです。

そこで、6月議会に私を筆頭請願者として、「陳情の取り扱いを本会議で審議・採択すること」を求める請願を行ないましたが、付託先の6月19日の議会運営委員会で不採択、6月26日の本会議でも不採択となりました。そもそも陳情や請願は強制力を有さないのですから、多数の議員で意志一致されなければ、委員会で採択されても議会多数派にとって都合の悪い内容の場合は形だけの「絵に書いた餅」になることでしょう。

お隣の習志野市議会で、「原発の早期再稼働を求める」という、とんでもない陳情を環境経済委員会が質疑もなしに採択してしまいました。本会議では多数の市民が傍聴に押しかけ、びびった議員らは「来春の改選を控え、イメージを気にして(陳情の)賛成意見は皆無」(6月28日:朝日新聞)一転して不採択となったのでした。八千代市での陳情制度であれば、委員会の密室政治によって採択されてしまうところでした。民意不在の議会ルールの改悪を許さない市民の声が今後も重要です。
                                         

2014年6月8日日曜日

三田登と共に市政を考える会⑫

八千代市公共施設再編に係る有識者会議・提言について
市民生活に負担を強いる前に市民との合意形成を!
秋葉市長の「お声掛かり」で「八千代市公共施設再編に係る有識者会議」が昨年11月に根本祐二・東洋大学教授を委員長として有識者3名によって設置され、3回の会議が行われた結果を3月6日に市に対して「提言」として提出しました。根本教授とは名刺交換したこともある関係ではありますが、「提言」には問題点を感じています。

有識者会議の「提言」は、「広報やちよ」6月1日号に掲載されています。ポイントとしては①人口増にもかかわらず人口減少を想定した公共施設再編が必要。普通建設事業などの投資的経費が全国的傾向とは異なり増加。②公共施設の新規投資が優先され更新投資が後回しされてきた。③将来の更新投資は、年間予算不足額が16億円。一世帯の市民負担額は2万円。④インフラ整備での将来更新費用は、道路が年10.7億円で33%の不足。橋梁は1.2億円で20%の不足。

上記は、ソフトで算出された統計結果にすぎず、「では、どうすべきか」が重要な問題です。それについても、「対策」の項があり、それなりに述べられているのですが、「広報やちよ」6月1日号では掲載されていませんでした(ホームページでは全文掲載)。掲載されていなかった部分で注目すべきは「至急実行すべき事項」のなかで、新川ハコモノ計画について「中央図書館・ギャラリー、総合グラウンドの着手は長期的・総合的な視点を欠いた判断(中略)。これらの施設だけを別扱いとすることは不合理である」と、財政難と釣り合わないハコモノ計画を批判し、建設中止に言及しています。一連のハコモノ優先・市民サービス切り捨て市政の帰結としての①~④なのですから、この論点については評価したいと思います。

言うまでもなく、八千代市の公共施設老朽化は深刻な問題です。全体の64%が築30年以上となっているのです。しかし、今回の「提言」は、「いらない」と判断した施設をつぎつぎと廃止し、土地売却をして財源を確保しようというものです。減った施設は近隣市民の共有、複合施設で賄うというのが基本です。当然、市民の負担が伴うことになります。大前提として市民と合意形成が不可欠ですが「アンケート、シンポジウム、広報、モニター制度」など、他市で実施された事例を参考として掲載しているにすぎません。市民参加型の協議会を設置し、徹底した合意形成による街づくりこそが求められます。でなければ、市民への様々な負担ばかりが増幅されてゆくのは明らかです。

根本教授は、「地域開発・地域再生」をテーマに、そのためにPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)(=公民連携?)を提唱しています。結局のところ、全国の自治体で大問題になっている老朽化した公共施設に対する建設・不動産業界など財界のビジネスを研究者の立場からサポートする立場と言えます。財界肝煎りの「日本プロジェクト産業協議会」(JAPIC)の委員であることも理解できます。そこからは「市民が主役」の発想が後回しになるのは道理です。

さて、有識者会議で重要な「提言」である「新川ハコモノ建設の中止」については、去る3月14日の「八千代市公共施設再配置等推進委員会」で秋葉市長は「白紙から議論できないが真摯に受け止めたい」などと、まるで他人事です。一体なんのために有識者会議(お金もかかります)を設置したのでしようか。単なるガス抜きとポーズだったと言われても仕方ありません。また、6月に「八千代市公共施設再編検討・検証委員会委員」が市民からも若干名が選出されましたが、同様の結果になる可能性を強く危惧します。一層の市民による行政・議会への厳しい監視が求められます。