2014年5月31日土曜日

なにやら四方山話③

「義を見てせざるは勇無きなり」とは
少し前のことですが、私が主宰している「三田登と共に市政を考える会」の会報を読んだという方から激励の電話をいただきました。私はそういう方には同意を頂ければ会ってお話しをするようにしていますが、会うことを快諾していただきました。

ある日、某喫茶店で待ち合わせ。相手は高齢の男性でしたが、なんと会社の社長さんでした。とても元気で博識な方でしたが、真っ先に聞かれたことは「学歴は?」そして「集団的自衛権をどう思うか?」でした。私は人様に披露するような学歴など持ち合わせていない浅学非才の輩ですから、最初の質問にはムニャムニャ言っていましたが、「集団的自衛権」についてはそうはいきません。

社長さんは「集団的自衛権の行使は必要だ。困っている人がいるのに何もしないのは問題だ。義を見てせざるは勇無きなりだ」と熱く語ります。私は、このブログでも論陣を張っている内容で反論しましたので不愉快な思いをさせたようです。大事な支持者を失ったかもしれませんが仕方ありません。因みに社長さんは何人も八千代市議を知っているとのことで、同様の質問をしたが、「こっちは地方自治なので…。と逃げて何も跳ね返ってこない。市議にはろくなのがいない」と憤慨していましたが…。

義を見て…は、孔子の「論語・為政」の「其の鬼に非ずして之を祭るは諂うなり。義を見て為さざるは勇無きなり」から引用された言葉だったと思います。たしかに人として大事な気概ですが、今回の「集団的自衛権行使」での「義」の相手が誰なのか、何のためなのかが大問題なのです。米国の要請と、祖父への屈折した憧憬に取り憑かれた御坊ちゃま首相の戦争ゲームに駆り出されるのは、義の社長さんではなく、幾多の若者なのですから。


不肖・三田登がモノ申す!⑭

「残業代ゼロ」が政府の「成長戦略」だって?冗談じゃない!
去る5月28日、政府の産業競争力会議(議長は安倍首相)は残業代ゼロ制度の導入方針を決定しました。これに対して当初、厚労省は表向き「慎重」でしたが、現行の裁量労働制(労使協定で弾力的に労働時間を決める)を拡大する考えを示しつつ、競争力会議の基本方針を受け入れています。職種や役職などで規制しているものの、ひとたび導入されれば歯止めが利かなくなるのは明白です。いずれにしても産業界の意向を汲んでの既定路線であることは明らかです。

言うまでもなく、労働時間は1日8時間、週40時間として、これを超える場合は労使協定(36協定)を締結し、その代りに残業代を支払うことになっており、違反した企業は労基法違反として厳しく処罰されます。その労働者にとっての大事な命綱を政府と企業が一体となって断ち切ろうとしているのです。

この方針は6月末に改定される政府の成長戦略に盛り込まれるとされています。「過労死」「ブラック企業」などが社会問題となっている状況に相反して、しかも労働者の生き血で企業を儲けさせて経済を「成長」させるなど「冗談ではない!安倍は今すぐ辞めろ!」とサラリーマンである私は怒りに震えてしまうのです。御同輩の皆さん、いかがでしょうか。

2014年5月25日日曜日

不肖・三田登がモノ申す!⑬

~大飯原発運転差し止め訴訟判決・再稼働を認めず~
「原発より生命と人格権」当然の判決理由だ!
福井県おおい町にある関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止めを住民が求めた訴訟で、去る5月21日に福井地裁で判決がありました。樋口英明裁判長は「生命を守り生活を維持する人格権の根幹を具体的に侵害する」とした判決理由は、判例としては画期的ではありますが、東京電力・福島第一原発事故以降の一連の情勢を踏まえれば、実は当然の判決と言えるのではないでしょうか。

住民側は「事故や放射線被害による不安のない安全な環境を享受できる権利」を主張し、人格と環境権に基づいて運転差し止めを求めていましたが、判決では「生存権と電気代のコストを並べて論じること自体が法的に許されない」「原発の危険性と、もたらす被害の大きさは福島事故を通じて明らかになった」など、指弾しています。

原子力規制委員会が全国11の原発の安全性の審査を進めていますので、いいタイミングです。原発の運転差し止めを認める判決は初めてであり、全国で取り組まれている反・脱原発運動の前進に良い影響を与えるのではないでしょうか。

しかし、菅官房長官が「政府方針は全く変わらない」と明言しているように、安倍政権に支えられた電力会社は反省を知りません。はたして関西電力は即日控訴を明言しました。また、東京電力は、まさに、その判決の日に「地下水バイパス計画」による海への放水(地下水561トン)を開始しています。これとて安全性が疑われてる作業です。

福島事故での、政府事故調査・検証委員会の調べに吉田所長(当時)が答えた「吉田調書」で所員の9割が吉田所長の待機命令に違反して撤退してしまい、事故対応がまともにできなかった事実を東電も事故調も隠蔽していたことが明らかになっています。これは氷山の一角ではないか。危険なのは大飯原発だけではなく、あらゆる原発だということでしょう。

今回の判決を契機として、人間の手に負えないものは手放して、原発の輸出中止も含めた、全原発の再稼働を止めさせる国民的運動の継続と発展が必要だと思うのです。

2014年5月4日日曜日

不肖・三田登がモノ申す!⑫

サラリーマンを殺す気か!
政府合同会議が「残業代ゼロ制度」を検討

政府の経済財政諮問会議と産業競争力会議合同会議が先月に開かれました。これは安倍首相が議長となっている安倍肝煎り会議です。そこで財界の意を汲んで「労働時間の規制を撤廃する制度」の検討が提案されたのです。安倍首相は「時間ではなく成果で評価すべき」としており、事実上「残業代ゼロでもよい」と言っているのです。

これは、安倍第一次(お腹が痛くて辞めた時)政権で提案したものの反対されて頓挫した「ホワイトカラー・エグゼンプション」(労働時間の裁量制)を性懲りもなく提案したものです。ちなみに私も現役サラリーマンですから、許し難い気持ちです。合同会議では「労使合意か、あるいは、高収入・能力を持つ労働者を対象とする」ことを提案していますが、ひとたび制度化されれば歯止めが利かなくなることは明白です。

いずれにしても、長時間労働・賃金カット、そして過労死につながる危険性は全く変わっておらず、それが合法化される訳ですから、ブラック企業に国が御墨付きを与えるようなもので、トンデモナイ話ではありませんか。国会の議席数と労働組合の弱体化を見透かした安倍首相が調子に乗っているだけのことです。

先日、メーデーの集会が各地で開催されました。メーデーは1886年5月1日にアメリカの労働者がシカゴを中心に8時間労働制を要求して統一ストライキで戦った歴史に由来していることは有名な話です。残業はいわば特例措置であり、その対価として、労基法に基づいて残業代が支払われるのは当然の、且つ、歴史ある労働者の基本的権利です。その権利が侵されようとしているのは、野党の責任は言うに及ばず、「たたかう労働運動」の衰退がもたらした帰結とも思えるのです。

安倍政権は労働者の当然の権利をいとも簡単に変えようとしています。東京新聞で過労死遺族の声として「私たちが願う過労死のない社会と逆行する」と掲載して批判していたのも当然です。苦労知らずで、お調子者のオボッチャン首相が持ちなれぬ権力を振りかざす国民不在の政治に、私たち国民がはっきりとNOを突き付けることが急務であることは論を俟ちません。